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天才歌人あらわるあらわる

天才である。
歌集『念力家族』

「神木にのぼりし兄を見つめいる村人たちの農具光れり」

「金星の王女わが家を訪れてYMOを好んで聴けり」

「中央線に揺られる少女の精神外傷をバターのように溶かせ夕焼け」

短歌、とはこんなにクレイジーで面白いものだったとは。
「サラダ記念日」を目にしたときよりも吃驚したし、たぶん寺山修司を発見した昭和の人々はこんな感慨を抱いたのであろう。

「念力家族」という笹公人の歌集をひょんなことから手に入れて楽しく読んでいる。
一首一首にユーモアが、ペーソスが、どうしようもない懐かしさとありえない奇妙さに酔いしれる。
大槻ケンヂの小説の不思議さと滝本竜彦の小説のイヤさをまぶしてオカルト風味で調理すればこんな歌集になるだろうか。


「注射針曲がりてとまどう医者を見る念力少女の笑顔まぶしく」
「ベランダでUFOを呼ぶ妹の呪文が響くわが家の夜に」
「エジソンに勝たんと発明繰り返す父の背中の鳩時計鳴る」
「夏の夜の夢枕に立つ先祖霊供物が足りぬと吾を叱るなり」
「憧れの山田先輩念写して微笑む春の妹無垢なり」

本読みならば是非手に入れて読むべき本だろう。
通信販売でしか買えないが、この歌人は幻冬社の「わしズム」という雑誌で連載を始めている。立ち読んでみるのも一興だろう。

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